THE MEDIUM NECKS

  /聞き手:Asuna
祝・ao to ao リリース復活!というわけで、レーベルオーナーのasuna氏が、リリースした2組の音楽家に突撃インタビュー!の第二弾です。第一弾はひとつ前の記事となっております。併せてご覧くださいませ。
さてこちらは、「THE MEDIUM NECKS」こと、飛田左起代嬢と吉田苑子嬢のふたりへのインタビュー。完成したCDを聴きながら、おしゃべりしたという、3人の会話がほぼそのまま掲載されています。リラックスした雰囲気のなかから発言される全曲解説。CDを聴きながら読めば、またいっそうふたりのチャーミングさが浮き彫りになること請け合いですよ。それではどうぞ〜。

〜 2007年10月 the medium necks 吉田宅にて 〜
― まず二人の出会いは?的な会話からいきましょっか。
飛田左起代(以下T):ICCのカフェのバイト募集しててそこで。その時はICCがどういうところかも知らなくて、近所だったから。
吉田苑子(以下Y):(笑)。私もよく知らないままICCに…。
― それって何年ごろですか?
T:2004年?3かな?アレハンドラ達(Alejandra & Aeron。レーベルLucky Kitchenを運営)が来てた時の展示("Sounding Space"展)の前くらいからかな。
Y:そうだね。その時はもう居たね。
― じゃあ2003年ですね。あの展示のアレハンドラ達の作品に参加してたんですよね?
T:なんかダイアローグを読むみたいなのを苑ちゃんとやったよね。
Y:うん。
― あ、吉田さんも参加してたんだ。あの作品の日本語版ってすごい良かったですよね。音源になってないみたいだけど…。で、その時にアレハンドラとアーロンがうちに泊まりに来ていて、ICCのスタッフの子に作品に参加してもらって、その子はCDも出してるみたいだとか話してて。そこで出て来た名前とか聞いてるうちに、それってもしかしてこの人では?って『TRACE』(Sonic Plate/F.E.E.Sからのソロ名義でのデビューアルバム)とか『Japanes Girls』(MIDI Creativeからのコンピレーションアルバム)とかアレハンドラ達に見せたりしたら、そうそう、その子だよ!って。『TRACE』と『Japanes Girls』以降は活動とかしてないのかなってずっと思ってたから自分も結構驚いて。
T:意外に続けてた(笑)。
― そういえば『Japanese Girls』のイベントみたいなのあったじゃないですか(2000年2月13日 下北沢QUE "Japanese Girls 発売1周年記念ライブ")。あのライブの時のバンド編成が「ORG.」になったんですか?
T:ううん。あれはあの時だけで、ドラムの人も違うし、愛ちゃん(ORG. 的場愛)もいなかったし。飛田君(ORG./envy 飛田雅弘)はいたけど。でも「ORG.」ってライブの度にメンバー変わったりしてたから。
― ICCで二人が出会った頃って「ORG.」がまだ活動してる時ですよね?
Y:なんかレコーディングしてるって言ってたよね。
T:そうそう、その時に「ORG.」のアルバムのジャケットを苑ちゃんと一緒にコラージュとかして作って。なんかそれから一緒に洋服作ったりとか、イベントの照明っていうかデコレーションとか頼まれたりとか。それは結局実現しなかったんだけど。
― じゃあ最初は音楽っていうよりも、アートワークとかそういう創作活動を二人で重ねてるうちにミディネクになっていったんですか?
T:音楽としては「ORG.」がバンドとしてあって、一人のやつをずっとやってなかったし、またやりたいなって思い始めてて、それを苑ちゃんに言ったりしてたら、「そこに入っていい?」って言われて(笑)。
― 一人って言ってるのに(笑)。
Y:(笑)。
― で、そこから「THE MEDIUM NECKS」として活動を始めたと。1st.アルバムってそれからすぐにリリースしたんですか?
T:うん。録音自体は「ORG.」の頃からやってたからすぐにまとめられて。
― その頃に展示もやってましたよね?白いレースの生地とか張り巡らせたインスタレーションみたいな。
T:『CET04』(セントラルイースト東京2004)かな。あれは結構ミディネクの世界観を出せた気がする。
Y:そうだね。
― アルバム出してからライブとかはどれくらいやったりしてたんですか?
T:アペル(経堂 appel)とか、ブレッツ(六本木 Bullet's)とか、アップリンク(渋谷 Uplink)とか、あとロバロバ(経堂 Roba Roba cafe)とかで。
Y:結構たくさんやった気がしてたけどそれほどでもないね。



― 吉田さんの映像って最初のライブからやってたの?
Y:どうしてたっけな?最初ってアペルだよね。(2005年4月29日 経堂appel "pony tales vol.2")
― え、あの時が最初?じゃあ映像あった気がする。
Y:そんな気がする(笑)。
T:やってたよー(笑)。
― あの時って吉田さん演奏もしてたよね。鍵盤とか。
T:映像もしてたし演奏もしてたよね。
Y:してたような気がする…。
― あの映像って、自分で作った切り絵とかをコマ撮りみたいにちょっとづつ動かしながらデジカメで撮影したものを編集してるんだよね?
Y:うん。
― パソコンで映像作ってるけどローファイというかなんというか、変な作り方。みたいな。
T:(笑)。私もそれしか知らなくて。
― あと、映像じゃなくて、絵とお皿みたいな。鏡だっけ。なんかそういう時もありましたよね?
Y:(笑)。パソコンが壊れてた時で…。
― ライブ中、サキヨさんの後ろに置いてあって、あれ何だろうとか思ってたんだけど、アペルの展示かなーって。で、ライブが終わってから吉田さんに今日は映像なかったんだねって言ってたら、あの絵と鏡だったんだけど、って(笑)。
T:環境づくり、みたいな(笑)。


― そろそろ今回のCDの話とかもしましょうか。CD流しつつ。今回僕がミディネクの音源をミックスするのにあたって音源のファイルをパソコンに移してもらいましたけど、まず、パソコンで多重録音してたんだ、って結構驚いたんですけど。ずっと一発録りかと(笑)。
T:録音自体はMDだったりカセットだったりバラバラなんだけど、それを最終的にパソコンに入れて並べておいてあって。
― ファイルが分かれてて多重録音なんだけど、この音なんだろうっていう謎のファイルがたくさんあったり…。
T:(笑)。その時は必要だと思って録ってたと思うんだけど、全然覚えてなかったりとか。
― まぁ、でもその謎さ加減が良かったりして。だからミックスにあたっても元の録音は全部活かす方向でやったんですよ。
T:あ、1曲目終わっちゃった…。
Y:かけなおすね。


1.「my mane」
― これ曲名を僕勘違いしてたんですよね。メールとかで"my name"って書いたりしちゃってて。CDのジャケットを作ってる時にやっと"my mane"だったんだって。
T:それまでずっと"my name"って言ってたよね。
― 間違ってるって言ってくださいよ!
T:やー、なんか別にそれでもいいかなって…。
Y:なんていう意味?
T:たてがみ。馬のたてがみとか。これの歌詞は、ニヒリストのための墓標と、絆創膏のいらないイノセンス、みたいな…。
― あ、結構若い感じですね…。
T:若いっていうかシンプルな感じ。


2.「black seep」
― これって録音時期はいつ頃ですか?なんとなく『TRACE』の雰囲気を感じるんですけど。
T:そんなに昔じゃなくて2004年とか。KORGのボコーダーとか付いたがっつりしたシンセで録って。TKとかが使うやつ。
― (笑)。
Y:何?TKって?
― コムロテツヤ?
Y:あー。
T:TKあれライブで投げるんだよ。
Y:危なくない?
T:危ないっていうかもったいない。投げる用でシンセとか置いとくんだよ。
― TKの投げる用シンセで録った曲(笑)。
T:でもこれかなり細かく音色とか調節できて。これはほんとは歌をのせる曲のつもりで弾いたんだけど、でもこれにどうやって歌を…、みたいな感じになって。
― あー、最後のほう曲っぽくストップしたりしてたのはそういう…。
T:歌はボツになったけど、これで良かったと思う。謎曲…。


3.「colas」
― このタイトルってコーラの木のことだってこの前はじめて知って。僕最近コーラ飲むと動悸が激しくなるっていう話の流れで。
T:コーラの木の実に心臓に働きかける成分があるっていう。
Y:でもね、昔のコーラにはその本物が入ってたけど、今のは香りと色だけみたい。今のはカフェインと砂糖がすごい入ってるからじゃない?
― あ、そうなんだ…。最初にコラスって聞いた時は星の名前みたいに思ってて、曲も謎だし。
Y:惑星ステーションのコラス…。
T:うん、でもコーラの木とかも特に意味はなくて。
― このゴゴーって鳴ってる音ってどこかで録って来たものなんですか?
T:あ、これはちゃんとしたフィールドレコーディングじゃなくて、汽車が走ってる映画がテレビで流れてて、その時にカセット近づけて録音したもので(笑)。
Y:何の映画?
T:「スターダスト・メモリー」かな。シャーロット・ランブリングとかが若い時に出てるやつ…。でもただ汽車が走ってたから録ろうって思っただけで映画がどうっていうわけでは…。
― あ、この朗読のところは…。なにキャロル?や、キャロルなに?でしたっけ?
T:ルイス・キャロル。
― ってなんの人?
Y:『不思議の国のアリス』。
― あーあー。『アリス』ってシュヴァンクマイエルの映画のしか見た事ないけど。
T:それ怖い…。
― あ、このいま入って来たギターからの部分って最初は"gui"っていう曲名だったやつですよね。途中から入ってくる電子音ってサンプラーでやってるんですか?
T:や、さっきのシンセかな。結構ツマミで音を弾きながら変化させてて。
― TK(鍵盤)活躍してますね。
T:重いからライブには持って行けないんだけど…。


4.「not piano」
― スタジオに入って録ったというドラムとピアノが…。
T:両方とも別々の日に録ってて。
― それが偶然上手く重なったという。この謎の展開はサンプラーのループ?
T:ううん、あの緑色のエフェクター。なんだっけ…。あ、LINE 6!あれに凝ってた時に録ったやつをカセットにいれて、それをまたLINE 6を通してカセットのスピード変えたりとか。でも電池とか電源?なんかその辺が面倒で使うのやめちゃったけど…。
― 最初のドカスカやってるスタジオ録音と急なこの展開部分には何か関連性とかあるんですか?
T:録音してたテープが同じだったっていう…。


5.「I said this」
T:これはちゃんと曲にしようっていう意志が。
― この曲はライブでもよくやってますよね。
T:でもあんまりやらない方がいいのかなって思いつつ。
― え、なんで?
T:真面目っぽいのちょっと嫌だし…。
― あ、ふつうに歌の曲だからっていうこと?
T:んー…。
― その歌に関してですけど、最初の『TRACE』っていわゆる宅録モノみたいな感じとは違って、そのチープさと謎さが度を超すような過激さを孕んでいたからこそSonic Plateからリリースされたと思うんですけど、その後の『Japanese Girls』だと割としっかり歌の曲になってて、僕としてはその両極があってこそグッときたんですけど、今回のも1曲目と5曲目の歌モノと、2、3、4曲目のなんかよくわからない曲っていうふうにおおまかに分けられると思うんですけど、その違いについては。
T:自分では歌ってすごく特別で、なかなか導きだせないというか最終段階みたいなかんじで。でもここに来てまだ謎なものが出てくるっていうのは逆にこっちが必要なのではと思ったり。歌モノだと不必要な展開も形にするために入って来ちゃったり。そこは慎重にいらないでしょって思ったりはしてて…。『trace』の時はただ音楽を作ろうって意識だけがあって…。
― じゃあ両方とも特に区別があるわけじゃなくて、録音してる過程でいろんなものが出来ていく、みたいな感じですかね…。あとは、そうだ、「ORG.」の時は全編ほとんど日本語詞だったじゃないですか、でも「i.f.s」(「international friendship society」飛田やenvyのメンバーに加え、ドイツのHCバンドLearyのメンバーなど総勢12名によるバンドプロジェクト)とかミディネクだと歌詞は英語のもあったりとか、そういうのって…。
T:別にどっちでも気にしてないけど。歌に合えば…。
― この曲って意外に日本語ですよね。
T:意外に(笑)。


― CDも終わったところで、じゃあ、最後にジャケットの写真について聞いてもいいですか。
T:これは、いっちゃん(植本一子)が。
― なんか写真新世紀の賞とかとってるんですよね。
T:そうそう、なんかアラーキー賞(写真新世紀・2003年度優秀賞を受賞。荒木経惟、選)みたいな。その後にストリート期みたいな感じになってたんだけど、最近のはもっと考えてる感じっていうか。
― 光が特徴的な作風になってきてますよね。
T:すごい若いんだけど、めずらしく骨太な感じっていうか。今回のはうちに来てもらった時に日当たりの良い場所でいろいろ撮ってもらって。
― どれも良かったですよね。あ、そういえば吉田さん来週から始まるツアー(THE MEDIUM NECKSが帯同することになった『COSTA MUSIC Japan Tour 2007』)は行けるの?学校の卒業制作で行けるかどうかわからないって言ってたやつ。
Y:あ、あれね、結局通知が来てたから大丈夫だよ。
― え、通知?大丈夫ってどっちが?
Y:ツアーが。大学から今年卒業出来ないって通知が来てて…。
― えっ?…。



THE MEDIUM NECKS web, myspace
飛田左起代 (music, etc.)
吉田苑子 (movie, etc.)
飛田は、1999年にソロアルバム 'TRACE' をF.E.E.S/Sonic Plateからリリース。同年Midi Creativeのコンピレーションアルバム 'Japanese Girls' に楽曲を提供。以降「ORG.」「International Friendship Society」など様々なバンドに参加。現在「HELLL」のバンドメンバーでもある飛田は、2004年に吉田とともに「THE MEDIUM NECKS」を始動。同時に1st.アルバム 'THE MEDIUM NECKS' をリリース。音楽にとどまらず、ミディアム・ネックスを二人の多岐にわたる表現活動のプラットフォームとして捉え、各種アートワークを手がけたり、インスタレーション作品の発表等も行っている。
 
THE MEDIUM NECKS / stars, stars
(aotoao-02)¥1,050
中里丈人が主宰するレーベルF.E.E.S/Sonic Plateから過剰なまでにローファイで強烈な恍惚を感じさせる宅録アルバムによってデビューし注目を集め、その後90年代から日本のハードコアシーンを牽引してきた「envy」のメンバーらと共に「ORG.」「International Friendship Society」などのバンドで活躍してきた飛田左起代。あの中里丈人が主宰する『F.E.E.S/Sonic Plate』からデビュー作をリリースし話題になっていた彼女が、2004年に吉田苑子と「THE MEDIUM NECKS」としての活動をスタート!結成後まもなく発表された1st.アルバム 'THE MEDIUM NECKS' に続く3年ぶりとなる新作 'stars, stars' がリリースされました。
飛田左起代の憂いを感じさせる儚い歌声や奇妙な電子音響と器楽演奏が、意図的に崩された曲構成で奏でられ、ライブでの映像を担当する吉田苑子の手作業による切り絵やコラージュの静止画の繋ぎ合わせとそのループによって生み出される世界観とあいまって、不可思議かつ可憐な魅力を醸し出しています。


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